RB Leipzig監督 Marco Rose〔インタビュー〕(2022/11/20)

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インタビュアー:Mr. Rose、日曜日からワールドカップが始まりましたね。楽しみですか?
Marco Rose:興奮しているし、ワールドカップだからこそ、スポーツについてたくさん話ができればと思っている。でも、全体は大きな驚きに包まれるだろう。

インタビュアー:ドイツは水曜日から大会が始まります。試合をご覧になりますか?
Rose:今週のトレーニングを計画していた時にGKコーチのFreddy Gößlingが突然、「おい、Marco!ドイツ代表は14時から(日本代表との)試合だけど、チームは15時からトレーニングだぞ」と言ったんだ(笑) 試合は見るよ。主にLeipzigから大会に参加する選手達を見るし、もちろんドイツ代表も好んで見る。でも、もしかしたら初戦は見逃していたかもしれない。

インタビュアー:トレーニングのスケジュールを変更したのですか?
Rose:そういうことだ。でも、14時キックオフという時間には慣れないといけないね。

インタビュアー:ドイツ代表はどれほどのことができると思いますか?
Rose:いつものように、多くのことを成し遂げることができると思う。Timo Wernerの怪我はなかなかの痛手だと思う。でも、パフォーマンスが報われたMario Götzeが復帰したのは素晴らしいことだと思う。

インタビュアー:他に気になるチームはありますか?
Rose:アルゼンチンだね。監督のLionel Scaloniのことを個人的に知っているからだ。ヨーロッパではベルギーの "黄金世代 "がどのような終わりを飾るかが気になる。フランスもそうだし、Jude Bellinghamのいるイングランドも気になる。個人的に知っている選手がいるチームということだね。例えば、Dortmundで知り合ったOtto Addoのいるガーナも応援している。

インタビュアー:おっしゃるように、カタールでのワールドカップは現場の人権問題、開催地決定の背景、建設現場での多くの死者など、様々な議論があります。大会、各代表チーム、開催国にはどのようなことが待ち受けているのでしょうか?
Rose:ワールドカップが適切な場所で開催されていないことは現場で写真を撮ることができない自分たちでさえも感じている事実だ。でも、それは12年前に決まったことなんだ。例えば、David Raumは当時12歳だった。今、彼はあの場に立つことになり、彼ら選手たちは政治的、道徳的な発言をすることを期待されている。それは彼らの1番最初の仕事ではない。その点を誤解してはいけない。自分の意見を表明することは大切だと自分は思う。ただ、カタールやこの地域には本当に素晴らしい人たちがいて、たとえば今ワールドカップをボイコットしたら、正義を貫くことができないだろう。

インタビュアー:どのような意味で?
Rose:自分にとって、ボイコットとは無知を意味する。そして、自分たちには12年間もボイコットする時間があった。カタールで起きていること、人々が非難していることを変えたいのなら、無視するのではなく、対話をし、対処しなければならない。自分はワールドカップの根本的な扱い方、この大会に投げかけられている全てのことに少し苛立っている。でも、もちろん、サッカーをめぐる国の中で、たとえばカタールの人権問題が根本的に改善されるようなことが始まって欲しいとは思っている。それは当然のことだ。

インタビュアー:大会は冬に行われているものの、それでも気温は高いです。許容できないものとして、もっと前から止めておくべきだったのでしょうか?
Rose:難しい。選手にとって厳しい条件であることは確かだ。気候の問題が大きな役割を果たすことはドイツ代表のオマーンとの強化試合でも見て取れた。テレビ越しの選手達からもそれが伝わってきた。一方で、これはワールドカップであり、世界の全ての国や地域に開催するチャンスがあるはずだ。個人的には天気はそれほど気にならない。

インタビュアー:何が気になるのですか?
Rose:ワールドカップ開催に向けて、クラブサッカーが選手たちのコンディションをほとんど気にせず、逆にいつも以上に試合をしていることだ。ワールドカップでは艶やかな試合はあまり見られないと思う。最もエネルギッシュで、状況にうまく対応できるチームが勝つと思う。

インタビュアー:LeipzigのChristopher Nkunkuは大きな成功を収めたかもしれませんね。彼が戦線を離脱することを考えると、どのような気持ちになりますか?
Rose:Christoにとってはとても辛いことだ。Timo Wernerにとっても同じだ。あのようなシーズンを過ごし、彼のように絶対的なトップコンディションにありながら、所属クラブで数多くの試合を無傷で乗り切って、大会に参加する寸前の状態だった。だから、本当に辛いことだ。

インタビュアー:今、あなたは彼とどのような関係にあるのでしょうか?
Rose:監督と選手という関係以上のものがある。彼らは自分の選手たちだ。自分は彼らと共に苦しみ、そして共に喜ぶ。Christoにとって大きな痛手であることは間違いない。今は彼を支えてあげる人たちがいることが大切だ。ここLeipzigでも、自分たちは彼のサッカーファミリーなんだ。

インタビュアー:競技面ではこの離脱をどう見ていますか?
Rose:Christoが代わりを務めることが難しい選手であることは事実だ。しかし、彼の不在を試合で補うための方法と手段を見つけるつもりだ。今季も既に何度か対応することができた。ただ、NkunkuとWernerを同時に失うとなると、たとえYussi (Poulsen)が再びフィットし、André (Silva)が最近素晴らしいプレーをしていたとしても、痛手だ。

インタビュアー:2人の離脱者を除いたとして、それでも冬にも移籍市場で積極的に動いていくのでしょうか?スカッドはそれほど大きくはありません。
Rose:自分たちは非常に冷静で、落ち着いたアプローチをしている。自分たちには目標を達成するために必要な全てのことを行う責任がある。その中には移籍の計画も常に含まれている。でも、とても良い状態にあるから、冬の移籍期間を迎えるにあたって、緊迫した状態ではない。ただ、自分たちは既に夏の移籍市場のことを見据えている。

インタビュアー:LeipzigはPSGからAbdou Dialloを完全移籍で獲得することに興味を持っていると言われています。
Rose:Abdouは素晴らしいやつで、チームを引っ張ることができる優れたサッカー選手だ。彼は最高の年齢にある。彼をLeipzigに長く結びつけることを考えるのはとても幸せなことだ。彼はここで快適に過ごしていることが分かる。ただ、基本的にはまだ初期の段階であり、移籍には常に複数の関係者が関わってくる。

インタビュアー:あなたがRB Leipzigを引き継いだ時、チームはプレースタイルが全く定まっていませんでした。どの選手も額に大きなはてなマークを付けていました。どのようにこの課題に取り組んだのですか?
Rose:機能する力のあるチームを引き継いだわけだから、広範にわたるプランは持っていなかったが、もちろん、どのようにグループを率いていきたいかという考えは持っていた。最も重要なことは人と一緒に仕事をし、自分たちがやろうとしたことがうまくいくのだと、グループを納得させることだ。日常的なやりとりの中で、チームが機能するための原則がある。自分たちはこの仕事に対して大きな意欲を持ち、最初から前向きだった。

インタビュアー:どのようにして選手たちを初戦のDortmund戦からついて来させることができたのでしょうか?
Rose:自分たちは一貫して内容を要求するし、連帯感を持ってプレーするしか方法がないことは明らかだった。チームとして連帯感を発揮しなければ、難しくなる。この姿勢がカギになることを選手達はすぐに理解した。同時に、特別な瞬間や特別な選手を受け入れる余地も残しておかなければならない。もちろん、勝ち負けも大事だが、基本的に一緒に取り組むことをみんなが好んでいれば、信頼し合える雰囲気が生まれ、落ち着いて取り組むことができるようになる。恨みも妬みもなく、共に喜び、共に苦しむことができるような雰囲気を作るために、自分たちは日々努力している。そうすることでこの気持ちを反映させた慣例も生まれる。

インタビュアー:たとえば、どのようなものですか?
Rose:ウォームアップのためにロッカールームを出る前に、選手達はクラブアンセムの„Stolz des Ostens“をいつも最後に流すんだ。これはChristo Nkunkuが導入したと聞いている。こういう小さなことが少しずつ大きくなっていくんだ。

インタビュアー:(ホームでの)Shakhtar戦に1-4で敗れたチームがあなたのデビュー戦でDortmund相手に3-0と勝利した変容ぶりは凄かったですね。
Rose:機能する力のあるチームでなければできないことだ。ただ、自分たちはこれまでとは違うパフォーマンスをすること、より積極的で、目的意識の高いサッカーを再びすること、より高い位置からの攻撃的なサッカーをすることを決意した。それが選手たちに合っていた。このスタイルで育ってきて、このようなサッカーを好む選手の名前を10人はすぐに挙げることができる。ただ、少なくともそれと同じくらい重要だったのは初週の終わり(Rose就任から約10日後)に行われ、0-3で敗れたGladbach戦の後のリアクションだった。

インタビュアー:というのは?
Rose:試合後にチーム内で自分たちの影響力やボディランゲージについて話し合った。試合に負けることが問題ではない。相手がより多くのエネルギー、連帯感、信念をピッチに持ってくることを望んでいないんだ。もし試合に負けたとしても、それはその日の相手が明らかに優れていたか、自分たちのプランを完全に遂行できなかったか。それ以外のことはない。

インタビュアー:その後の無敗街道を突き進むにあたって、カギとなった瞬間いつですか?
Rose:重要な瞬間はたくさんあった。最初の練習でさえも、キーポイントとなる瞬間だった。トーナメント形式の6対6を行い、いくつかのルールを決めて、みんなにきっかけを与えた。1stボールからボールに対してのプレーをし、何かが起こるのを待たないというものだった。Dortmund戦のようなパフォーマンスができたのも、それが理由だ。

インタビュアー:他には?
Rose:それから、たとえば代表ウィーク明けのBochum戦に勝って連敗から抜け出したこと。CLの(ホームでの)Celtic戦で(今季のCLで)初勝利したことも重要だった。そうすると、信念や確信が芽生えてくる。90%の選手たちは自分たちが帯同したら、出場時間が与えられるという感覚を持っていたと思う。出場時間に不満のある選手は常に少数いるが、それは明らかだ。

インタビュアー:ライプツィヒ出身のあなたがライプツィヒのトップクラブであるRB Leipzigで監督を務められるということは並大抵のことではありません。2ヵ月半が経過しての最初の評価はどうですか?
Rose:地元にいることが信じられないほど幸せだし、Red Bullの世界を知っているし、クラブにとても居心地の良さを感じている。今のところ、ここで働くことも、毎晩家にいることも、とても良い気分だ。でも、ここ数ヶ月をそれ以上に評価してはいけない。まだ真の目標に到達していないし、先はまだまだ長い。特に、物事がうまくいっている局面ではある種の謙虚さを保ちつつ、同時に多くの勇気と自信を持ち、次の局面を迎えることが重要だ。Leipzigに来ることを決めた時、このクラブが大きな目標を持っていることが重要だった。

インタビュアー:Bayern Münchenがライプツィヒにやってきて、新たな年は幕を開けます。ブンデスリーガで可能なこと、現実的なことは何だと思われますか?
Rose:正直なところ、チームの全員が健康な状態であれば、このチームにできないことはないと信じている。相手がどこであろうと、常に野心的であり、ブンデスリーガの全ての試合に勝とうとすることが重要だ。