RB Leipzig アカデミーSD Manuel Baum〔コラム〕(2023/11/18)

かつて自身もトップチームの監督を務めていたことから、Manuel Baumはトップチームの監督が何を必要としているかを知っている。
また、現在RB LeipzigでアカデミーSDを務める彼は才能のあるタレントをプロにする方法も知っている。彼はMalick Thiaw、Kevin Danso、Marco Richterがプロになるまでの道のりを共に歩んできた。
今、彼はRB Leipzigに何が必要なのかを探っている。

44歳のBaumは最初の一歩として、計画を立てた。
明確な目標がなければ船は港に着くことができない。RBではこれが確固たる目標として定められる。
「我々はエリートの成長を促進し、ハイパフォーマンスが求められる環境下で育成したいと考えている。
部門に関係なく、アカデミーで行う全てのことはこの目標に沿ったものとなる。」とBaumは話す。

第二段階として、Baumは全ての従業員と話し合いをした。
ここでの重要なトピックは明確さにある。
明確なビジョンがあれば、目標に向けて集中できる。

Baumは他のクラブのユース部門がどのように機能しているかを知っている。
チームとコーチ陣はしばしば島やサイロのように(それぞれが孤立した状態で)行動する。
RB Leipzigでは各年代のグループがお互いに繋がりを持つようになる。その一例が"状況に応じたプレー基準に関するプロジェクト"だ。

アカデミーの取り組みでは4つのキーワードが重要となる。
俊敏性、学際性、自律性、協調性。
RBは戦術レベルを実践的に適合させたいと考えている。その目的は日々のトレーニングを通じてピッチ上で進歩を遂げることにある。
「基礎はできている。今はプレー哲学を更に発展させているところだ。」

アカデミーはトップチームをベースにしているが、一つ違う点がある。それは、「アカデミーは選手の成長を促進するためにあり、トップチームはパフォーマンスを発揮するためにある」という点だ。

Baumは戦術の専門家だと思われているが、個人がいかに重要であるかを理解している。
「結果や順位について語る時はいつもチームとしての総合的なパフォーマンスが基になる。チーム戦術はその一部である。
しかし、必要なのはそれだけではない。集団としてのパフォーマンスの中で、個々の選手がそれぞれの役割でどのような貢献をしているのか。
個々の役割の中でその選手をどのように成長させることができるのか、というのはチームとは関係ない選手個々人に関係してくることだ。我々は2つの観点から見る成長が片方に偏り過ぎないようにし、その両方の成長を実現させたい。」

Baumはドイツサッカー界で議論されていることにも精通している。
「我々は戦術を重視するあまり、選手個人を成長させることをいつの間にか忘れてしまったと考えている。RBLではその点に取り組みたい。
ポジションチェンジの多い現代サッカーを見れば、例えば4バックの場合、特定のスペースに常に新しい選手がいるという課題もある。
選手の育成が全てだ。これは若い選手にとって、短期的な結果に繋がる戦術よりも重要なことだ。
短期的な結果に繋がる戦術をより重要視することで、問題を将来に先送りすることになってしまう。」

そのため、RBは選手育成に更に力を入れたいと考えている。
「(アシスタントコーチとは別に選手)個人(に焦点を当てて指導する)コーチを加え、コーチングチームの役割分担を変えた。監督は集団の責任者である。監督は育成年代のSDからのサポートを受ける。」

ドイツサッカーには何が必要なのか。
正確なセンターフォワード?素早い左SB?Jamal Musialaをあと数人?
戦術的なスキルはともかく、個が必要とされている。
その点に関して、RB Leipzigの担う役割は何なのか。
「我々の仕事は全てのポジションの選手を育成することだ。全ての選手を成長させることができるように、プレーとトレーニングの哲学を形成することが重要だ。
哲学の有無はトレーニングやプレースタイルと大きく関係してくる。」

また、Leipzigでは"上 "からの助けもある。
「我々がトップチームと密接に連携していることで、あるテーマについての最善の練習方法を我々に伝えてくれるという素晴らしいこともある。我々はこれを各年代に則した形にして活用している。」

DFBとLeipzigの間での繋がりもある。
「例えば、(DFBで育成年代のSDを務める) Hannes Wolfとはよく話をする。
彼は自分に最新の情報を教えてくれるし、育成に関して自分がどう考えているかを聞いてくる。ドイツ全土のサッカーは自分にとって身近なものだ。」

Manchester City、Celtic FC、Real Sociedad。育成における洞察力が並外れているクラブはいくつもある。
「我々はヨーロッパをよく見て回る。ただ、コピー&ペーストはRBの姿勢とは異なる。
我々は先を見据えている他のクラブよりも2歩先に進み、彼らが"RB Leipzigではどうなのか?"と思うようなクラブになりたい。」

もちろん、ここでも取り組み方は変わらない。
「目標にに到達する可能性を高める重要なポイントが2つある。
一つはアカデミーでの優れたスカウティングとスカッドプランニング。もう一つは優れた選手育成だ。我々はその両方を達成したい。」
ブラジル (RB Bragantino)、アメリカ (New York Red Bulls)、オーストリア (Red Bull Salzburg)に拠点を持つRBのグローバルネットワークへの統合はここでも役立っている。

とはいえ、焦点はザクセンに当てられている。
「我々はより多くの地元出身の選手をプロにしたい。
我々はまた、才能ある選手と指導者の育成という使命も持っており、それをサポートしたいと考えている。
それは我がクラブに限った話ではない。我々の知識をこの地域に伝え、地域として強化していくことも重要だ。」