RB Leipzig CEO Oliver Mintzlaff〔インタビュー〕(2022/11/15)

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インタビュアー:ブンデスリーガとLeipzigで一番恋しくなることは何ですか?
Oliver Mintzlaff: 感情。それは独特なものだ。5回勝てば自信がみなぎるし、そうでなければすぐに危機一髪な状況になる。これがこのスポーツの特徴だが、その分疲労もある。もう、日々の仕事とはおさらばだ。約9年間、多くの成功があったとても濃い時間だったが、それと同時に大きな転機でもある。

インタビュアー:最高の瞬間はどんなものでしたか?
Mintzlaff:最近、ちょうどそのことを考えていたんだ。確かに、最初に思い浮かぶのはポカール優勝やブンデスリーガ昇格といった大きな成功だ。でも、忘れられない小さな瞬間もたくさん覚えている。一つの例を挙げると、2017年4月のLeverkusen戦のアディショナルタイムの得点で1-0で勝利した試合。10人になっていた中、93分にYussuf Poulsenが得点したんだ。あれは感情が爆発したね。

インタビュアー:Leipzigでの最も難しい決断は何でしたか?
Mintzlaff:わずか5ヶ月でJesse Marschを解任したことだ。とても幸福感に包まれながらシーズンは始まり、何度も何度も素晴らしい試合をして、彼となら長期的に成功できるという希望を育んできた。しかし、残念なことに「これは自分たちの姿ではない」と思わされるような残念な試合がしばしばあった。だからこそ、うまくいっていないことを自分たちで認めることは難しいことだった。でも、今日の視点から見れば、この危機はクラブにとってとても重要なことだった。

インタビュアー:なぜですか?
Mintzlaff:自分たちはこの危機を乗り越え、より強くなり、より成長した。あの時、行動主義に陥らないこともCEOとして重要なことだった。最終的には目標を達成することができたし、ポカールの優勝で目標を超えることもできた。

インタビュアー:あなたが断った移籍の中で一番腹立たしいのはどれですか?
Mintzlaff:自分たちからすれば、Patrick Schickを完全移籍で獲得することは筋だったと思う。自分たちは内部で多くの議論を重ねた。Ralf RangnickはPatrickを完全移籍で獲得することに前向きではなかった。当時、彼はいつも怪我に悩まされていたからだ。一方、Julian Nagelsmannは何としても彼を引き留めたいと考えていた。

インタビュアー:ライプツィヒのボスとしてのあなたの後任はいつ来るのでしょうか?
Mintzlaff:まだCEOは決まっていない。しかし、新しいSDの話題のように何度も延期を余儀なくされたようなことは意図的に避けたいと思っている。組織体制が整っていること、多くの貴重な社員が活躍する素晴らしいチームであることは良いことだ。だから、8週間、10週間、12週間後に後任がいなくても心配はしていない。

インタビュアー:後任に好ましい特徴を教えてください。
Mintzlaff:そうだね、サッカー界で良いCEOとなれる人物の特徴を見つけることは最も難しい仕事の一つだと思う。

インタビュアー:なぜですか?
Mintzlaff:サッカー界は一般的な企業よりもずっと特別なものだからだ。なぜなら、日常的に成功と失敗が繰り返されることが特徴としてある。CEOである以上、そこで道を踏み外すわけにはいかない。つまり、継続性が非常に重要なとなる。ただ、スポーツに対して敏感であることも必要とされる。しかし、「今ならフットボール・マネージャー2023で遊べる」とCEOが考えることに繋がってもいけない。

インタビュアー:Red BullのHead of Global Soccerの役職も譲ることになるのですね。
Mintzlaff:そういうことだ。だから、実は2人の後継者を探している。

インタビュアー:あなたが去った後、まだ後任がいない状況でMax Eberlはより大きな責任を負わなければならないのでしょうか?
Mintzlaff:そうとは限らない。結局のところ、ワンマンショーではない。Maxが原動力となるのは当然だが、彼の周りに良いチームがあってこそ成功する。チームであることがこれまでの自分たちの成功の要因であり、今後も重要となる。安定した基盤の上に築かれ、あらゆる面で一流のクラブを彼に譲り渡すことになる。あとはMaxが次の段階へと引き上げるだけだ。

インタビュアー:彼とも働くことになるのですか?
Mintzlaff:そうだね。12月はたくさん顔を出すつもりだ。でも、原則的にサッカー界から姿を消すわけではない。自分はこれからもブンデスリーガと密な連絡を取り続けるつもりだ。また、RB Leipzigの監査役会の一員としてDFLの会合に出席したり、何らかの形で関わることも否定しない。

インタビュアー:今後はMario Gómez (Technical Director Red Bull Soccer) もより大きな責任を担うことになるのでしょうか?
Mintzlaff:彼との契約は非常に喜ばしいことだ。彼は非常に良い形で馴染んできていて、責任のある仕事が少しづつ任せられるようになるだろう。ここでもしっかりとした体制と非常に良いチームが出来上がっているから、全体的な発展にも非常に満足している。

インタビュアー:いつ、そしてどのようにしてLeipzigの監査役会会長になるのでしょうか?
Mintzlaff:名誉評議会は監査役会を提案した。そして、投票権を持つメンバーが回覧、つまり書面で自分を監査役会のメンバーに選出した。さらに事が進むと、近い将来に監査役会のメンバーによって監査役会会長に選出されるかもしれない。

インタビュアー:監査役会会長としての職務はどのようなものになるのでしょうか?
Mintzlaff:監査役会は予算、主要プロジェクト、戦略的な事業課題などについて経営陣やCEOと協議する機関だ。ただ、日常的なビジネスには介入しない。そして、それは良いことでもある。これは自分が決断したことで、現場スタッフに全幅の信頼を与えることもその一つだ。

インタビュアー:仕事の拠点はどこになるのでしょうか?
Mintzlaff:オーストリアのフシュル・アム・ゼーにある本社で、自分も引っ越す予定だ。もうライプツィヒに事務所はない。

インタビュアー:スポーツ部門の全てを担当することは大変ではありませんか?
Mintzlaff:この魅力的な仕事をとても楽しみにしている。

インタビュアー:Leipzigが王者になれるように、更なる資金を与えてくれるのですか?
Mintzlaff:いや、そのようなことは考えてもいない。自分たちは一歩一歩、自分たちの道を進んでいかなければいけないと思っているし、予算を増やしたからといって、進歩が早まるわけではない。自分たちの取り組みは決して成功を買うことではない。自分たちは常に資金を賢く使ってきた。2部や3部時代に入団した選手で、当時ならブンデスリーガのクラブならどのクラブでも獲得できたような選手もいる。Emil Forsberg, Yussuf Poulsen, Lukas Klostermann。3人だけ名前を挙げるが、彼らは2020年のCL準決勝でプレーしている。これは自分たちが持続可能な道を歩んでいることを示している。自分たちはファイナンシャル・フェアプレーの絶対的な支持者であり、クラブが遵守しない場合の制裁をより厳しくしてほしいとさえ思っている。

インタビュアー:今後、あなたはDietrich Mateschitzと同じように公の場に出ることはほとんどないのでしょうか?
Mintzlaff:そうだね、基本的にはもうインタビューには応じないだろう。

インタビュアー:Red Bullグループにおけるサッカーについてのビジョンを教えてください。イングランドにもRed Bullのクラブを作るという噂が常にあります。
Mintzlaff:自分たちが他のサッカークラブを買収する可能性は排除できる。Bragança、New York、そしてLeipzigの3つの拠点をよりよく繋げるために、努力しているところだ。特にアメリカのMLSは難しいリーグで、サラリーキャップの関係で多くの優秀な選手と契約するのは難しい。そのため、他のリーグと比べると、質、観客動員数、テレビ放映料ともに劣っている。リーグは次のステップにどう進むかを早急に考える必要がある。2026年ワールドカップがもたらすインパクトを持続的に利用できるようにするために。

インタビュアー:実際、F1についてはどう思いますか?
Mintzlaff:自分の新しい役職の立場としてはあまり話したくない。ただ、個人的にはとてもエキサイティングなことだと感じている。F1にはずっと興味があった。プーマに務めていた時もモータースポーツに携わっていた。だから、ある種の繋がりがある。

インタビュアー:日々のビジネスから解放されることはある面から見たら嬉しいことなのでしょうか?
Mintzlaff:確かに人々の判断は極端だし、動きが速すぎる。しかも、それはメディアだけの話ではない。SNSの発達も極まりの悪い部分がある。ほとんど匿名で人を裁くやり方は社会にとって、特にスポーツにとって大きな問題だ。個人的にはFacebookTwitterInstagramもやっていないから、そのようなことには無縁でいられるけれど。それでも、もちろんこういう問題はある。

インタビュアー:実際に1日にどれくらいのレッドブルを飲んでいるのですか?
Mintzlaff:自身のエネルギーレベルにもよるけど、だいたい1日過ごすのにレッドブル1缶あれば十分だ。