FC Liefering №8 Alexander Prass 〔インタビュー〕(2021/05/12)

f:id:SKR826:20210519001856j:image

2012/13シーズン以降、2ndチームであるFC Lieferingから1stチームであるRedBull Salzburgに昇格した選手の数は31人。ただ、その大半が外国籍選手で、オーストリア人選手の昇格は僅か9人に留まっている。現在、SalzburgではDavid AffengruberやNicolas Seiwaldが出場機会を得るために戦っているが、数字からも分かる通り、狭き門であることには変わりない。Alexander Prassは今季Lieferingで目覚ましい活躍を魅せているが、その狭き門を通り抜けるチャンスすら与えてもらえなかった選手の1人だ。LASKのユースから2012年にSalzburgのユースに加わったPrassは最後まで報われることはなかった。Prassの現行契約は今夏で満了となるものの、現時点で契約延長のオファーはなく、今夏の退団が決定的となっている。今回、U21オーストリア代表の左利きMFがインタビューに応じた。

インタビュアー:今シーズンはここまで15ゴール(6G9A)に絡んでいますね。今シーズン、プロサッカーの舞台で躍進したシーズンとなったのでしょうか?
Alexander Prass:いや、今はそうとは言えない。ただ、昨シーズンと比べて自分が成長し、上達したことは明らかだ。でも、プロサッカーの舞台での躍進はまだ起きていないと思っている。

インタビュアー:特にどの部分が向上したのでしょうか?
Prass:何よりも昨季までの自分にはなかった部分でもある、真のリーダーになれたことだ。それ以外にも、例えば基本的なことでも向上することができた。また、最近はゴールを決める力もついてきた。

インタビュアー:リーダーシップを発揮する選手というキーワードですが、2月末からFC Lieferingでキャプテンも務めていますが、これは高く評価されていることの証だと思いますか?
Prass:特に監督からの評価を感じる。彼(Matthias Jaissle)は自分を信頼してくれていて、絶対に自分に(キャプテンを)務めてほしいと思っていた。とても良い気分だし、(キャプテンを務めることによる)フィードバックも良いものだ。

インタビュアー:今年の1月にはFSV Mainz 05に戻ったBo SvenssonからMatthias Jaissleへと監督が交代しました。この二人の監督の違いはどこにあると思いますか?
Prass:個人的には全く違うタイプの2人だと思っている。サッカー的には似ている部分もあるし、それはクラブが求めていることでもある。2人とも自分のスタイルを持っているし、チームの導き方も違っている。ただ、大きな違いはないと思っている。

インタビュアー:新監督の下でシーズン後半には更に一歩前進したと言えますか?
Prass:それは何とも言えない。シーズン後半にはチームがかなり入れ替わっていた。多くの選手が去り、新しい選手が入ってきた。そのため、(シーズン後半は)もう同じチームではなかった。チームが非常に早く機能したことに関しては、現在の監督(Jaissle)を高く評価しなければならない。ほとんど準備期間がない上に、全くの新しいチームだったためだ。いずれにしても、一歩も後退することはなかった。

インタビュアー:Bo Svenssonの退団をチームはどう受け止めましたか?特にあなたの場合はより深刻で、FC Lieferingではほとんどずっと彼の下でプレーしていたわけですからね。
Prass:知らせを受けたときは、確かにうれしいものではなかった。当時はコロナ禍の真っ只中で、自分たちは彼らが別れを告げるビデオを見せられただけで、それ以上のことはできなかった。自分たちにとっては残念なことだったが、同時に彼らがブンデスリーガのクラブであるFSV Mainz05で監督をするチャンスを得たことに喜びを感じた。また、彼らが家族と再会できたことも背景にある。

インタビュアー:Bo Svenssonからはどの程度の影響を受けましたか?
Prass:大きく影響を受けている。彼の下では、左SBからCFまで多くのポジションを経験した。特に守備面と攻撃面で大いに助けられた部分がある。彼との時間はとても勉強になった。

インタビュアー:あなたはどのポジションが一番しっくりきますか?自分の強みを最も発揮できる場所はどこですか?
Prass:中盤だ。そこでは攻撃と守備の両方が重要になる。また、今の自分はどちらも上手にこなせるから、自分の走力を最も活かせる場所だと思っている。

インタビュアー:その他の強みは何ですか?
Prass:自分は左足が高いレベルで扱えて、デュエルもちろん、ドリブルにも強い。ただ、試合の洞察力は特に際立っていて、そこが自分の最大の強みだと思っている。

インタビュアー:以前、インタビューで「ブンデスリーガでプレーするために必要なものを持っていると思う」とおっしゃっていましたが、それは今でも変わりませんか?
Prass:変わらない。今でもそう思っているが、去年よりも少し強く思っている。その時が来るかどうかは、おそらく近い将来に決まるだろう。来季自分がどこでプレーするにしても、一歩前進することになるだろう。

インタビュアー:今シーズンで契約が切れるのにもかかわらず、延長の目処が立っていませんね。その理由は何ですか?
Prass:まだ誰からも契約延長の打診はない。もしオファーを受けていたとしても、まったく嫌ではなかったのも確かだ。

インタビュアー:Nicolas SeiwaldやDavid Affengruberなど長年一緒にプレーしてきた仲間がRedBull Salzburgに昇格しているのに、自分はうまくいっていないというのは、どのような難しさがあるのでしょうか?
Prass:特に長い間一緒にピッチに立っていた選手たちのことを嬉しく思う。その一方で、自分のパフォーマンスは及第点なのに、なぜうまくいかなかったのかと自問することも多い。最終的には、FC RedBull Salzburgの決定がどのようなものであっても、受け入れなければならない。とにかく自分ができることを精一杯やるしかない。

インタビュアー:あなたのパフォーマンスのおかげで、Rapid WienやSturm Grazがあなたに興味を持っているという噂があります。そのようなことにどう対処していますか?
Prass:もちろん、耳にしている。そのようなクラブが自分を欲しがっているというのは嬉しいことだし、良いフィードバックや感謝の気持ちにもなる。でも、それによって自分や自分の人間性が変わるわけではない。Lieferingにいる限り、ここでの役割が自分が集中することだ。

インタビュアー:来年、オーストリアや国外で活躍する自分を見ていますか?
Prass:それはまだ決まっていないが、国内外からオファーがある。

インタビュアー:シーズン終了まで残り3節となり、FC Blau-Weiß Linzと勝ち点で並び首位に立っていますね。目標はタイトルですか?
Prass:自分たちは絶対にチャンピオンになりたいと思っている。これまで一度もタイトルを獲得したことがなかったことから、クラブにとっては歴史的なことだ。シーズンのこの段階で全てが自分たちの手に委ねられるというのも、これまでになかったことだ。残り3試合、全て勝てば王者になれる。そうなりたくないというのは、明らかに考え方として間違っている。だから、目標はあくまでも1位でシーズンを終えることだ。

インタビュアー:Austria Klagenfurt、Austria Lustenauとの試合、そして最終節にはBlau-Weiß Linzとのタイトル対決とまだまだ本格的な対決が続きます。何が重要になりますか?
Prass:あと3度、自分たちのベストパフォーマンスをピッチ上で発揮しなければならない。シーズンのこの段階でそれは簡単なことではない。シーズンはすでに比較的長く、ここ数週間はかなり激しい日程で試合が行われている。全ての試合で自分たちのパフォーマンスをピッチ上で出せれば、どんな相手にでも勝てる。だからこそ、自分たちは全ての試合に勝つことができると確信している。

インタビュアー:すでにある種の疲労感を感じていますか?
Prass:いや、肉体的な疲労は全くない。ただ、毎回のトレーニングや試合に向けて、モチベーションを高めていかなければならない。でも、それは当たり前のことで、誰にでもできることだと思っている。最終的には誰もが楽しむことができる。ラストスパートでは全てを出し切りたい。

インタビュアー:監督にのためにもですか?2週間ほど前に、Matthias Jaissleが来シーズンからFC RedBull Salzburgの監督に就任することが発表されました。
Prass:しかし、我々FC Lieferingにとっては今のところ大きな違いはなく、彼は夏まで我々と一緒にいる。彼がこのように早く成功したことは、どの選手にとっても喜ばしいことだ。彼は自分たちにも感謝している。自分たちの功績がなければ、実現しなかったかもしれないわけだから。

インタビュアー:このようなSalzburgへの昇格というチャンスを得られないということは、あなたにとっては「残念」なことなのでしょうか?
Prass:今はそのことに関しては何も言わない。最終的に自分の場合はどうなるか分からない。

インタビュアー:あなたは3月にU21オーストリア代表としてデビューしました。それはあなたにどんな感情を呼び起こしますか?
Prass:とても良いものだった。これまで(プレーしたU18、U19)の代表チームと比べると、明らかに違いを感じた。特にプロ意識という点でU21チームは全く違っている。チームもコーチ陣もみんな歓迎してくれて、とても良い気分だった。一緒に過ごしたのは短い時間だったが、本当に最高だった。

インタビュアー:監督のWerner Gregoritschからのフィードバックは?
Prass:彼はとても満足していて、個人的に自分にそう言っていた。でも、詳しいことは監督と自分の間での話だ(笑)

インタビュアー:最後に、5年後の目標は何ですか?
Prass:自分自身を責めるようなことはしたくない。トップクラブに所属していたいし、そこからさらに上を目指せるようになりたい。最終的に、自分はただ幸せでありたい。

インタビュアー:そして、オーストリアA代表でも?
Prass:もちろん、A代表でもプレーしたい。