RB Leipzig №22 David Raum〔インタビュー〕(2022/11/25)

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インタビュアー:ワールドカップでデビューを飾った後の感想はどうですか?
David Raum:まぁ、正直なところ、期待していた結果ではなかった。でも、まだ自分たちの望む場所へと行く可能性があるし、敗退はしたわけではない。

インタビュアー:個人的にはワールドカップでプレーした経験は最高の瞬間の1つとなりましたか?
Raum:クレイジーな話だ。自分のこの3年間もそうだけど、信じられないようなことばかりだった。当時はドイツの2部リーグでプレーしていたのに、今はワールドカップでプレーしているんだからね。こんなことは夢にも思っていなかったから、夢が叶った以上のことだ。

インタビュアー:ブンデスリーガでのプレーは僅か1シーズンながらも、ワールドカップに、しかもスタメンで出場しているんですよね?
Raum:そういうことなんだ。自分は2部リーグにいて、夢はブンデスリーガで試合に出ること、その機会を得ることだった。そして今、自分はRB Leipzigの一員としてCLに出場し、ワールドカップにも出場している。代表では12試合に出場したけど、この短期間に自分が成し遂げたことに着目してみて欲しい。

インタビュアー:エリートへの突然の飛躍はどのようにして実現したのでしょうか?あなたは24歳で、ほんの少し前までは3部や2部でプレーしていたんですよね?
Raum:自分はユースの選手だった19歳まではセンターフォワードとしてプレーしていた。右ウイングとしてもプレーしていた。その後、ほとんどプレーしない時期もあった。状況があまりよくなかった。そして、自分だけがパワフルな左脚のキックを持っていたからという理由で、あるトレーニングで左SBとして起用された。どんなに腹が立ったことか。DFをしたいFWなんていないし、自分はゴールを決めたかったし、自分がゴールを決めれることを示したかった。
でも、実際にSBでプレーしてみると、怒りの感情とは裏腹に、自分にはSBでプレーする素質があると思えるようになった。監督にSBのことを教わって気付いた。SBでも攻撃ができ、自分のクロスがチームにとって有益なものとなり、自分が役に立てるということに。そういうことを実感したのが始まりだ。このチーム(Greuther Fürth)で1部に上がり、その後Hoffenheimが契約してくれて、ブンデスリーガでプレーすることになった。そして1年後、今年の夏にCLでプレーすることができるRB Leipzigと契約した。信じられないことだね。

インタビュアー:今、その監督たちに何を伝えたいですか?
Raum:ありがとうと伝えたい。最初にSBに自分が置かれた時は意味が分からなかった(笑) でも、たくさんのことを学んだし、スイッチが入った瞬間だった。過去2シーズンはそれぞれ15アシストを記録している。

インタビュアー:そして、代表チームではまだ1年しかプレーしていませんよね。
Raum:そうだね。これまでに12試合に出場している。2021年の9月、Hoffenheimでブンデスリーガに2試合出場しただけの時に初招集された。Hansi Flickは自分に自信を与えてくれたし、代表のユニフォームを身に纏うことは信じられないことだ。国のためにプレーするということは究極のことだから。

インタビュアー:監督から連絡があった時はどんな感じでしたか?
Raum:素晴らしい話がある。昨季に2部(Greuther Fürth)からHoffenheimに加入して、2試合だけプレーしたという時期に電話が鳴ったんだ。トレーニングの前だったからロッカールームで着替えているところだった。その電話番号は知らなかったから取らなかったんだ。引っ越したばかりだったから、工事関係者か家具や荷物の配達だと思った。また電話がかかってきて、本当に話したいことがあるんだなと思った。でも、トレーニングもあるし、家でゆっくり話したいから出なかったんだ。電話が鳴らなくなり、SMSが届いた。「Hansi Flickだ。また電話してください」と。自分は震えだし、ロッカールームを飛び出して電話をかけた。彼は自分に会いたいと言うかと思ったけど、違った。彼は自分のことを「1年間追ってきた」と言った。彼は自分が2部リーグにいた時から1年間自分のことを追っていて、「今度の代表活動で招集する」つもりだと言った。人生で最悪のトレーニングだった。信じられないことだった。
家に帰ると、みんなが喜んでくれたし、とてもクレイジーなことだった。想像してみて。ブンデスリーガに2試合出て、その次が代表チームだよ。自分の彼女も信じられないようで、夕食に出かけてワインを飲んだ。一生忘れられない出来事だった。

インタビュアー: 家族は大勢でカタールに来たのですか?
Raum:来たのは彼女だけで、あとは家から見ている。今は彼女が人生で1番大事な存在だし、彼女は現地で応援してくれている。

インタビュアー:楽なグループではなかったし、スタートも良くなかった。
Raum:そうだね。厳しい戦いになることは分かっていた。どこもとても良いチームだ。日本はブンデスリーガ出身の選手が多く、クオリティも高いし、自分たちに勝ったことで良いチームであることを証明してくれた。ただ、このグループの行く末はまだ分からない。

インタビュアー:スペインも同じようにグループの行く末はまだ分からないと感じています。
Raum:初戦の前にクラブで仲が良いDani Olmoと話をして、「スペインは素晴らしいチームだ」と伝えた。おそらくスペインとドイツは今回のワールドカップの優勝候補の本命ではないと話したけど、自分たちは強力なチームだから、気をつけなければいけない存在だ。スペインにはクラッキであるDaniを除いても、並外れた選手たちが多くいる。自分はスペインを尊敬しているし、素晴らしいゲームになると思う。

インタビュアー:Daniとは良好な関係なのでしょうか?
Raum:とても仲良くしている。残念ながら、彼はシーズンの初めに怪我をしてしったけど、今はプレーしている。彼はピッチ外でも素晴らしい人間だし、一緒にプレーすることが大好きだ。真っ先に彼のところに行って、ユニフォーム交換をお願いするつもりだ。

インタビュアー:開幕戦では2人とも先発でした。もしかしたら同じサイドで顔を合わせることになりますね。彼はあなたに嫌な思いをさせるんじゃないですか?
Raum:(笑) 自分は最高の選手と対戦することが好きだし、Daniに関しては彼のスキルも知っている。でも、尻もちをつかされたらバカにされそうだし、あまり大口は叩かないようにする(笑) ピッチ上では友情はないけど、試合が終わったら彼と抱擁を交わす。

インタビュアー:胸にある4つの星には重みを感じますか?
Raum:ドイツでプレーすることは大きな責任です。彼らの持つ歴史、選手たちのおかげで?でも、プレッシャーは試合の一部であり、僕はそれが好きなんです。すべてのチャレンジに対応できるよう、一生懸命トレーニングしています。

インタビュアー:Neuer, Götze, Gündogan, Müllerといったレジェンドたちと一緒にプレーしていますね。
Raum:彼らは世界チャンピオンだ。自分にとっては名誉だ。なぜなら、自分は実質的に2部リーグの出身で、彼らのような選手たちを間近で見たことがなかったし、対戦したことすらなかった。テレビでしか見たことのない選手たちだったから、どれほど名誉なことか。今はブラジル大会のヒーローだったGötzeもチームに復帰した。自分にとっては本当に名誉あることだ。

インタビュアー:ブラジルでの1-7の日、あなたはどこにいましたか?
Raum:家で友人と一緒に観戦した。ブラジルのファンが泣いてるのを見ることは誰にとっても信じられないようなことだった。歴史的な試合だった。

インタビュアー:物議を醸した件についてお聞きします。BernabéuでのFede Valverdeの件は何があったのでしょうか?
Raum:特にスペインでは色々なことが言われているし、はっきりさせたいと思っていたことだから、このような質問をされて嬉しく思う。全てはミスから始まった。自分はピッチで情熱を持ってプレーする選手で、前半に自分がクロスをカットして(相手の)CKになった。それは自分たちのファンの隣で起こったことで、自分はそのプレーで彼らを盛り上げるために腕を上げた。ただ、問題はFedeがちょうど通りかかって、自分に対してやられたジェスチャーと思ったことだ。
FedeはReal Madridやラ・リーガで今、最も成長している選手の1人で、彼には最大限の敬意を払っている。Fedeに対しても、Real Madridに対してもリスペクトが足りなかったわけではない。Bernabéuという、自分が尊敬するクラブの素晴らしいスタジアムで初めてプレーしたんだ。
問題はこの後に自分と彼女がSNSで脅迫されたことだ。とても不愉快だった。彼はその後に得点を自分の前で祝った。自分はそれを受け止めた。自分は彼に対して何もしていないし、彼に向けたジェスチャーでもなかった。自分のせいではなく、ファンと一緒にあのジェスチャーをしただけであって、本当に彼に対してのものではなかった。でもそれはそれとして、もし今回のワールドカップで彼に会えたら、喜んで握手をする。これで何が起こったのか、みんなに知ってもらえたらと思う。自分は感情的な選手だけど、尊敬することも忘れない選手だ。問題なくマドリードやスペインに行けると良いんだけどね(笑)

インタビュアー:Fedeと仲直りするためにRüdigerに助けを求めたのですか?
Raum:Fede本人とは話していないけど、Rüdigerには事情を伝えた。彼がFedeに何かを話したかどうかは分からない。Fedeも非常に情熱的な選手だから、Fedeの反応は理解できる。でも、自分は彼を刺激するようなことは決してしない。

インタビュアー:Fedeは良いやつだ。
Raum:それはよかった。ウルグアイは彼のおかげとんでもないチームになったわけだからね。でも、幸いなことに今、この話題は完結した。Fedeに敬意を示すよ。

インタビュアー:もしかしたら将来的にあなたはReal Madridにいるかもしれません。今のあなたの成長ぶりを見ていると...。
Raum:それは夢のようなことだ。自分はどんな可能性も閉ざさない。Leipzigではとても幸せだ。でも、Real Madridはとんでもないクラブだから。

インタビュアー:ワールドカップ開幕前に、特に興奮するような試合はありましたか?
Raum:夢見ていたのはワールドカップそのもので、次に控えるのはスペインという素晴らしいチームとの対戦だ。自分は世界のトップクラスのチームと対戦することを好むし、スペインはそういうチームだ。これだけ良い選手が揃っている国、そして代表チームに尊敬の念を抱いている。

インタビュアー:ドイツ代表の雰囲気はどうですか?
Raum:雰囲気は本当に良い。ドーハから100kmも離れた位置を拠点にしているけど、ここでは色々なことができる。ビーチでゲームをしたり、映画館で一緒に映画を観たり。雰囲気はとても良いし、ピッチ以外でも友人だ。例えば、自分はUNOをすることが好きで、夜には想像もできないような姿で遊んでいる。ホテル中に聞こえるくらい大きな声で叫んでいるんだ。

インタビュアー:タトゥーもお好きなようですね。
Raum:そうだね、かなり好きだよ。

インタビュアー:最初に入れたのはどれですか?
Raum:16歳の時に初めてタトゥーを入れたんだ。プレーに必要な足を守るための十字架をそれぞれの踵に入れた。夏にはいつもタトゥーを入れる機会を作っている。今でもたくさん目にすると思うけど、これからもやり続けるつもりだ。

インタビュアー:最も特別なものはどれですか?
Raum:胸に入れたもので、ゴールを決めたときに見せるんだ。Living the Dreamと書いてある。この2年間は自分にとってクレイジーなものだった。だからタトゥーを入れたんだ。全てが夢だから。