RB Leipzig 監督 Julian Nagelsmann〔インタビュー〕(2020/09/16)

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Leipzigでの2シーズン目を迎えるNagelsmannのインタビュー。

インタビュアー:つい先日、代理人を変更されましたが、なぜそのような決断を下したのですか?
Nagelsmann:(前代理人の)Marc Kosickeとは11年間という長く素晴らしい時を共に過ごした。ただ友好関係で起きることと同様に、ある時点からはあまり新たな情報を共有し合わなくなる。最終的にこの決断は自分の今後の成長のために下した。新たにインプットを増やしたり、新たなフィードバックや意見を取り入れる。新たな人、新たな考え。これが変更するにあたっての全てだ。

インタビュアー:Leipzigでの1年目、特にリスボンでのCLを振り返った時に自身とチームについての変化はどのようにあったとみていますか?
Nagelsmann:自分に関してはあまり変わった点はない。もちろん新しいクラブで新たに経験することもあったし、新たに知り合った人も多くいた。彼らには自分のやり方を理解してもらわなければいけない。このようなところから人は成長できる。ただ自分が人として変わったことはない。チームに関しては特にAtlético戦の前はあのような偉大なチーム相手にも畏敬の念を抱いてなかった。ただ、5日後のPSGとの試合ではそれほど勇敢ではなかった。

インタビュアー:近年のLeipzigに対する外部からの印象は常に変わっていません。真のビッグクラブと比較すると何か(タイトル)が欠けています。内部の人間としてはどのように見ていますか?
Nagelsmann:自分も同じように感じている。最終的に左右するのはクオリティと成長だ。将来が有望な若手選手を獲得して、国際舞台でプレーするというこのクラブの哲学は緊張感があり挑戦的なことである。成長とは過程で、トレーニングを積む必要がある。ただ、国際舞台での戦いとそれに出たいという欲望はトレーニング時間を奪い取る。多くの試合を戦わなければいけないことから、中身の濃い練習を積む時間がほとんどない。これは求めているものと現実を切り裂くハサミのようなことだ。

インタビュアー:これは自身の仕事にどのような影響を及ぼしますか?
Nagelsmann:若い選手のパフォーマンスのムラは許容しなければいけない。勝ち点を失うこともあるし、トップに到達することは簡単ではない。敬意を込めて例を挙げるが、Robert Lewandowskiはあまり多くの試合トレーニングを必要としないだろう。彼は何でもできる。彼は週末に自分の能力をキチンと発揮することができるようにトレーニングを積めばいい。これに加え、今後は我々が望んでいるような世界中のトップクラスの有望株を獲得することができなくなってくる。この点に関してはDortmundとBayernが我々よりも先を進んでいる。もしこのまま何も起きず普通にに事が進んだら、彼らに追いつくことはできない。

インタビュアー:すなわち、今後も最高順位は3位ということですか?
Nagelsmann:我々が2年間みっちりとトレーニングを積んで、代わりに他のチームが国際舞台で戦えば、我々は所属している有望な選手たちを最大限育成することができて、彼らに近づくこともできるかもしれない。ただそれでもBayernに追いつくのは難しい。我々はいい意味でその境界線の上にいる。常に限界まで挑戦し続けるし、競合相手が弱い一面をみせることを願う。そうしたら我々はがそこ(より上の順位)にいなければいけない。

インタビュアー:Oliver Mintzlaff(CEO)とMarkus Krösche(SD)に対してより経験豊富な選手を獲得するように働きかけていますか?
Nagelsmann:もちろん我々はスカッドや新たに獲得する選手についての話し合いを毎日行なっている。ただ、このクラブの哲学を知った上で自分はこのクラブと契約を結んだ。もちろん、この哲学に共感し、自分の頭の中にも若い選手たちと働きたいという考えはあった。

インタビュアー:それでもクラブの選手獲得方針には100%の状態では納得いっているようには見えない時もありました。
Nagelsmann:経験のある選手をチームに連れてきたいということは既に伝えている。ただ、クラブの28歳の選手は再販時に更なる価値が付かないという考えに不満を感じているわけではない。クラブ全体で負けを受け入れるのであれば、今の補強方針も受け入れる。ただ、もし我々が5位や6位でシーズンを終え、関わった全員が落胆するようなことも危惧している。そうなってしまわないよう自分自身にもプレッシャーをかけている。

インタビュアー:昨季の自身のパフォーマンスに関しては3+(1が最高、6が最低)としていました。なぜそこまで批判的だったのですか?
Nagelsmann:チームの出来に3+を与えたわけではない。1年を通してのクラブ全体の働き、移籍市場、クラブとしての一体感の形成、コロナ禍における無観客試合、技術面での向上と自身に関しての問題点。これらを全て合わせたら3+よりいい点数にはならない。

インタビュアー:移籍市場が閉まるまでに新たにストライカーを獲得することができなくてもやりくりできると思いますか?
Nagelsmann:例えこれ以上新たな戦力を獲得することができなくても、既にいいチームはある。今いる選手たちには満足しているし、彼らと一緒に働くことを楽しんでいる。ただ、4位以内に入ることが決まっているわけではない。Timo WernerとPatrick Schickの移籍で得点源を失った。だから、一監督として得点を保証してくれるような選手の獲得を望むことは言うまでもないことだ。

インタビュアー:Alexander Sørloth獲得を熱望しているとされていますが、彼や彼の代表での同僚であるErling Hålandなど身長が高く、フィジカルの強いCFがトレンディなのはなぜだと思いますか?
Nagelsmann:試合展開がどんどん早くなってきていて、よりパワフルになっている。より優れた相手にはフィジカル面の一定の強度も必要不可欠な要素になってくる。フィジカルやパワーは必要とされる能力で、多くのポジションで役に立つ。

インタビュアー:Leipzigが今夏の移籍市場で最大で€30Mの投資しかできないことに関してはどう考えていますか?昨夏と比較すると比較的控えめにも見えます。
Nagelsmann:過去2,3年は多くの良い移籍もあったが同時に高額投資をして上手くいかなかったケースもある。非難しているわけではない。移籍市場における取引は常に確率ゲームでもある。ただ、Marcelo Saracchi、Luan Candido、Hannes Wolf、Ademola Lookmanの獲得には多くの移籍金を要したが、彼らはあまりプレーしなかった。だから我々は新戦力について一定の心の余裕を持たなければいけない。

インタビュアー:HwangとPoulsenが前線でコンビを組む可能性はありますか?
Nagelsmann:2人ともポカールのNürnberg戦で得点を挙げたし、息も合っていた。ただ昨季以上の得点を挙げる選手もきっと何人かいる。

インタビュアー:具体的には誰のことを指しますか?
Nagelsmann:Emil Forsberg、Dani Olmo、Amadou Haidaraは昨季のプレー時間は多くなかったが、ゴール前で危険な状況を作れる選手だ。彼らが才能のある選手だということは既に分かっているし、更なる力を発揮する可能性がある選手たちだ。他にもプレーしたくてうずうずしている選手はたくさんいる。彼らはこれからチャンスを得ることになるだろう。

インタビュアー:Ademola Lookmanに関してはどのように考えていますか?
Nagelsmann:彼は全体的にとても不満を持っている。ただ、例え1年目が上手くいかなかったとしても、彼はこの移籍の選択が彼にとっての正しいものだったと信じて取り組む必要がある。そうでないと彼のパフォーマンスが爆発することはない。

インタビュアー:今季は例年よりもシーズンが1か月短くなります。これはどのような課題を生み出しますか?
Nagelsmann:あまりピッチ上でのトレーニングを積むことができなくなることから、映像から学び取ることができる能力がある、いわゆる’’賢い’’選手が必要となる。

インタビュアー:このような要因もありますが、チームが次のレベルに成長を遂げることは可能だと思いますか?
Nagelsmann:本当に次のレベルに達する必要があるのかも分からない。WernerとSchickがいなくなった今、現状のレベルを維持するという目標でも十分だ。再び3位になり、CLで良い戦いをする。もちろん誰もがもっと高く遠いところに行きたいと考えているが、そのためには全てのことが上手くいかなければならない。

インタビュアー:自分の思い描いていたものとは異なるシーズンに向けての準備をしているように見えます。
Nagelsmann:いや、決してそうではない。我々は常に成長を続けたい。ただそれをどのように目に見えるものにすればいいのか?もちろん、より安定したプレーは必要だ。空中戦での勝率も上げなければいけないが、多くのチームが我々に対してロングボールを多用してくるから簡単ではない。他にもある。ボール保持の部分でも向上は必要だし、リズムを変える点においても同様だ。チームにはポテンシャルがある。ただ、順位表において我々が次のステップを踏むことは難しいと見ている。我々は再びCLの出場権を獲得したい。これも十分に野心的な目標だ。

インタビュアー:チームに比較的長く在籍しているLukas Klostermann、Marcel Sabitzer、Yussuf Poulsen、Peter Gulacsiらは’’タイトルを獲りたい’’と口にしていますが、彼らはその欲望を諦めなければいけないのでしょうか?
Nagelsmann:自分は決して保守的な言葉を並べる人間ではないが、夢想家ではなく現実主義者でありたいと思ってきた。もちろん我々はタイトルを獲得することができるチームだ。ただそのためには多くのことが必要となる。昨季の後半のような不安定な戦いはタイトル獲得を助けるものではない。自分のことを知っている人は自分がとても野心のある人間だということは知っている。ただ、片言をつらつらと述べているだけでタイトルは勝ち取れない。実際に行動を起こさなければいけないし、いつかこの街にトロフィーを持ち帰って来れるよう努力しなければいけない。

インタビュアー:無意識のうちにひらめくように、浴室の鏡にメモを張っているそうですが、そこには何が書いてありますか?
Nagelsmann:昨季は多くの試合を戦ったことから12週間しかトレーニングを積む期間がなかった。自分が持ち込んだ新たなものとRedbullの哲学の更なる強化において、今は求めているレベルからまだまだ遠い。昨季の前半のような高いレベルのゲーゲンプレスも取り戻そうと取り組んでいる。また、自分たちのボール保持からの得点増加に向けても取り組んでいる。完全なモデルチェンジは不必要で、今あるものをより強固なものにするだけで十分だ。そのため今は浴室のメモは必要としていない。