RB Salzburg SD Christoph Freund〔インタビュー〕(2021/01/21)

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Salzburgに約15年間勤めていて、2015年からはSDを務めるChristoph FreundがHåland、Upamecano、Leipzigのことなどについてをインタビューで話した。

インタビュアー:Mr. Freund、Red Bull Salzburgでの約15年間を振り返った時にまず1番初めに出てくる出来事は何ですか?
Freund:おそらくは2012年だ。

インタビュアー:そのことについて詳しく言いますと?
Freund:あの時を機に我々は戦略の変更を行い、クラブとして全く異なる方向への舵を切ることになった。

インタビュアー:それは何を意味するのですか?
Freund:我々はそれ以前からもできる限りの成功を収めたいと思っていたし、成功を目指していないクラブはない。我々はオーストリアの王者にもなったが、やり方は全く異なっていた。それまではAlexander Zickler(現BMGアシスタントコーチ)やNiko Kováč(現Monaco監督)など既にキャリアの終盤に差し掛かっているビッグネームで、優秀な選手たちを獲得していた。ただ、2012年にその方針を根本的に変えることにし、それと同時に志向するサッカーも変えた。

インタビュアー:Ralf Rangnickがクラブに来たのと同時にあなたの役職も以前まで務めていたチームマネージャーからスポーツコーディネーターへと変わることになりました。
Freund:その通りだ。Ralfが来たことで大改革が行われた。若く、才能のある選手のみをチームに加えるというアプローチを強めた。そのような選手たちはSalzburgに加わり、我々と共にヨーロッパでの第一歩を始めることになった。

インタビュアー:Rangnickと共に働いたことについてはどうでしたか?
Freund:彼のそばで働いた3年は親密で、徹底されていて、信頼に満ちたものだった。新たな側面を多く学ぶことができた。

インタビュアー:2015年からRangnickはLeipzigでの仕事に専念することになり、それと同時にあなたの役職もスポーツコーディネーターからSDに変わることになりました。具体的に何が変わりましたか?
Freund:足跡は大きなものだったが、移行は上手く機能した。Ralfからはたくさんのことを学ぶことができたし、多くのことを身につけることができた。私は自分たちが志向するサッカーに対して完璧な確信があった。だからこの部分に関してはあまり多くの変化はない。ここ5年間我々は上手く立ち回っていると思うし、このやり方はオーストリアのクラブにとって最も理に適ったものでもある。それにただ単にこれが楽しみなんだ。

インタビュアー:SalzburgのSDとして普段はどのようなことをされていますか?
Freund:普段?難しいな(笑) 役割は多岐に渡っているし、変化に富んだものだ。ただ、これがこの仕事を面白くさせてくれる。サッカーが好きな人にとって、サッカービジネスで働くことは夢が現実になったようなことだ。自分は毎日監督やスカウト、アカデミーの責任者と多くの話し合いを行なっている。チームや選手をどのように成長させるかについての意見交換が頻繁に行われる。また、6か月から18か月後のスカッドの在り方などについても話す。もちろん選手の代理人との話し合いも日常的に行なっている。退屈になることなんてない。

インタビュアー:Salzburgが行なっている若いタレントの早期獲得と育成、その後に高額で売却する取り組みはとても上手く機能しているように見えます。スカウト陣が特に気にかけている点は何でしょうか?
Freund:我々はヨーロッパ全体に加え、アフリカや南アメリカと良い関係性がある。基本的に我々は探し求めている選手の性質や年齢などに関する明確な方針があり、これが決定的な要素となる。選手の数はとても多いので我々は17から19,20歳の間の選手に焦点を置いている。我々のサッカーはスピーディーで、切り替えが早く、積極的でパワフルなものだ。選手は我々のサッカーにフィットできる必要がある。我々は自分たちが求めている選手像をはっきりと理解している。

インタビュアー:16歳の時にValenciennesのU19からSalzburgに加入したDayot Upamecanoの例を挙げてみましょう。彼の移籍に関しての過程はどのようなものだったのでしょうか?
Freund:我々のスカウト陣が初めてUpaのことに気が付いたのは彼がフランスU17代表でプレーしていた時のことだった。それから彼らは彼のことを4,5回視察し、素晴らしい報告書をまとめあげた。我々のスカウトは、我々のコンセプトに合致するような人目を惹く能力を持っている選手を見つけたらすぐに合図を鳴らすように言い聞かされている。Dayotの場合もそうだった。我々にとってはどれだけ早く動き出せるかが大事なことだ。多くの映像を見て、少年のことを知り、できる限り多くの情報を集める。それらの全ては他のビッグクラブが本格的に動き出す前に行わなければいけない。Upaの場合は我々の早期から動き出したことで競争に勝つことができた。Bayern MünchenとManchester Cityも彼の獲得を目指していた。

インタビュアー:そして彼はSalzburgへの移籍を選択しました。
Freund:フランス育ちの少年にとってSalzburgは望んでいた行き先ではなかっただろう。ただ、それでも我々はプロレベルでの定期的な出場機会など、クラブとして彼に提供することができるものを提示した。彼がBayern MünchenやManchester CityあるいはLeipzigへの次なる一歩を歩む前にSalzburgが最善の選択であることを保証することができた。

インタビュアー:Upamecanoの件に関しては結局のところ(多くのクラブからの関心が伝えられ、)秘密に包まれなくなりましたが、例えばPatson Dakaをザンビアから獲得した際には運要素も含まれていましたか?
Freund:選手獲得において、少しの運は常に付き物だ。我々はアフリカ方面とも良い関係を築けていて、良い経験もある。例えば、Doudou Haidara、Diadié Samassékou、Sékou Koïta、Mo Camara、Enock Mwepu、Patson Dakaらだ。良いネットワークを形成していることで、選手たちを早い段階から知ることができる。彼らがチームに加わってからはピッチ内だけではなくピッチ外でもきちんと面倒を見る。10人をチームに連れてきて1人を大成させれば良いわけではない。アフリカの市場は我々にとって非常に興味深いもので、我々は既に専門となりつつある。

インタビュアー:近年Salzburgは多くの選手を育成してきて、Sadio Manéのようにワールドクラスに分類される選手もいます。思い返した時に、特に誇らしく思う選手はいますか?
Freund:思いつく選手は本当にたくさんいる。ただ、我々のアカデミーから巣立った選手たちは特に誇りに思う。Xaver Schlager、Konni Laimer、Stefan Ilsanker、Martin Hinteregger、Hannes Wolf、Valentino Lazaro、Stefan Lainerらだ。Sadioは我々が戦略を変更してすぐにチームに加えた選手の1人だ。もちろん彼が今のところ1番華々しい名前の選手だ。あるいはErling Hålandかもしれない。

インタビュアー:Hålandのこのような急激な成長は彼が2019年の1月にMoldeから加入した時から分かっていたことですか?
Freund:正直なことを言うと目に見える形では分からなかった。我々は彼が15歳になった時から長い期間追い続けていた。彼はその間も大きく成長を遂げていたが、全てが上手くいっていたわけでもなかった。彼は結果的にその才能から多くをチームにもたらしてくれたが、我々にとって1番重要だったことはメンタリティが才能をも潰してしまうかもしれないという点だった。ただ、彼の信じられないほどのメンタリティもすぐに見て取ることができた。

インタビュアー:彼は最初の半年間はMarco Roseの下でほとんど出場機会を得ることができませんでした。
Freund:ただ、彼の特徴的な性格が露わになったのもその時期だった。彼は不機嫌になることなく、毎日のトレーニングをフルスロットルでこなしていた。例え上手くいっていない時でも彼は抑えられないほどの強い意志と貪欲さでピッチに立っていた。幸運なことにその姿勢を1番最初には見ることができなかった。

インタビュアー:それが幸運なことなのですか?
Freund:もし、そのような姿勢を早くから見ることができていたら、Dortmundや他のビッグクラブがより早い段階で彼の獲得に乗り出して、我々が獲得することはできなかったからね(笑)

インタビュアー:Dominik SzoboszlaiはSalzburgからLeipzigに直接加入した18人目の選手になります。Red Bullの関係性からLeipzigが競技的な利点があるという世間的な批判に関しては理解できますか?
Freund:いや、まったくもって理解できない。我々クラブが選手の行き先を選んでいるわけではなく、移籍の決断は常に選手自身が行なっているものだ。もし、ErlingがLeipzig行きを望んでいれば、そうしていただろう。彼はDortmundへの移籍が正しいものだと判断してその決断を下した。もし、SzoboszlaiがMilanに確信を持ったなら彼もMilanへ移籍していただろう。彼は自分で全ての選択肢から選べる権利があった。もちろんSalzburgとLeipzigは似通った哲学とプレースタイルのチームではある。選手たちも背景事情を理解している。ただ、最終的に選手、それに加えて家族や代理人がどこに移籍したいかの決定権を持っているということだ。

インタビュアー:それでもその繋がりがLeipzigを害することはないですよね?
Freund:もしかしたら、Leipzigは他のクラブと比べた時により長く、濃密に我々の選手を追っていることもある。ただ、そうでない時もあるし、Hålandの例を見てもそれは分かる。我々の下でプレーした多くの選手がLeipzigではない他のトップチームに移籍しているという事実もある。

インタビュアー:SalzburgがLeipzigのトッププレイヤー獲得を熱望することはありますか?オーストリアブンデスリーガという理由からそれは不可能なことですか?
Freund:我々は名が広まっていない選手や大きなリーグでプレーしたことのない選手をチームに加えたいと考えている。個人的な観点からいうと、大きなリーグからオーストリアに移籍することは良い一歩だとは思わない。

インタビュアー:監督人事に関しても同じで、Salzburgで名を揚げて例えばMarco Roseのようにドイツブンデスリーガにステップアップすることもあります。
Freund:我々の下で指揮を執った監督が成功の道を歩んでいることはとても興味深く見ている。Adi Hütter、Roger Schmidt、Oliver Glasnerが良い例だ。Marcoは我々のアカデミーで4年間監督を務めていて、2017年のトップチーム監督就任は非常に理に適ったものだった。彼は我々の目指しているサッカーを体現した。もちろん我々は彼や他の人の例を出して、Salzburgが何を提供することができるのかを見せることができる。若いチームと共に働き、国際舞台でも戦うことで監督も選手と同様にここで成長することができる。

インタビュアー:国際舞台のことについて少し話をすると、現監督のJesse MarschはBayernとの試合を含めてCLのグループステージで非常にハイレベルな経験をすることできました。彼は日常的にもあのようにエモーショナルな人なのですか?
Freund:彼はエネルギーで満ち溢れている。彼とトレーニングセンターで朝に会う時はとても楽しいことだ。

インタビュアー:Marschも近い将来ドイツに行くことになるのでしょうか?
Freund:Jesseは野心があり、明確なプレースタイルも持っている監督だ。彼はSalzburgに来てからの1年半で間違いなく名を広めた。ヨーロッパで監督の道を切り拓いていくことになるだろう。

インタビュアー:Salzburgは2019年までに11度CL本選出場を逃してきました。HålandやSzoboszlaiらをチームに留めておくためにはラウンド16進出が必要となってくるのでしょうか?
Freund:我々が歩んでいる道筋は楽しみがたくさんあるものだ。我々はいつどこにいなければいけないというようなプランは持ち合わせていない。今季のCLでもBayernやAtlético相手に非常に良い戦いをした。ただ、それと同時に代償も払わされた。ただ、そのようなことも起こり得る。Erling Hålandが我々の下に非常に短い期間しかいなかったことは特別なことで、彼があまりにも爆発的な活躍をしたからだ。彼のようなケースは頻繁にあることではない。一般的には選手は我々の下で2,3年はプレーする。Erlingに関しては止められなかった。ただ、彼のようなプレーをした選手がいたわけだし、数年に一度はあのようなことが起きるかもしれないね(笑)