RB Leipzig 会長兼CSO Johann Plenge 〔インタビュー〕(2023/7/25)

監査役会について...。
Johann Plengeは前CEOのOliver Mintzlaffがクラブを去ったことでクラブの上層部の一員となったが、2007年からRed Bullで、2010年からRB Leipzigに勤めている古株である。Red Bull GmbHのCEOに就任したMintzlaffは同時にLeipzigの監査役会の会長に就任した。それによりLeipzigの監査役会は現在、更なる注目を浴びている。ただ、監査役会は財源の計画に大きく関わっているため、CSO(最高戦略責任者)のPlengeは既に監査役会と密接に働いていた。
「毎年、事前に予算を決め、その範囲内で仕事をしなければいけない。」

・Opendaを含む今夏の移籍について...。
財政的には移籍金や年俸に関する枠組みがクラブ内で決められている。今夏の移籍もその限度を超えない範囲内で実現したものとなっている。
「今夏に加入した選手はみな若く、誰もが知っているわけではない発展途上の選手たちだ。しかし同時に、我々は競技面における成功を確実にできる選手を求めている。(クラブ記録を更新する移籍金で加入した)Loïs Opendaに関しても、少なくとも我々はそのように考えている。確かにOpendaの取引は特別で、例外的なものだった。
ただ、この例外を基に新しいルールを作り、それをクラブの新しい移籍の枠組みだと言うつもりはない。
それに、年俸体系を崩さないことがクラブにとって非常に重要なことであり、実際に(今回のOpendaの移籍でも年俸体系は)崩れていない。年俸体系は一度崩れてしまうと、元に戻すことが難しい。」

・投資家参入の可能性について...。
5月25日に行われたDFLの総会はブンデスリーガの1部と2部に所属する36クラブの3分の2以上の賛成が得られなかった。
「5月の決定は間違っていたと思っている。これはブンデスリーガ全体、ひいては全てのクラブに課題を突きつけるものだ。ブンデスリーガとして、我々は開けておきたかった扉を閉めてしまった。その結果どうなるかを今、我々は考えなければならない。
36クラブはかなり多くのことが変化している事実に同意している。消費者の行動も変化しており、新しいオファーや選手が多く出てきている。我々はこれに適応したいと考えているが、他のリーグでの経験を持っているパートナーという、そのためのツールが一つ減った。
リーグは反対したわけではないが、賛成者が少なすぎただけだ。我々はこのプロセスの再開を強く望んでいる。
今は船に乗り遅れたが、次の船が来るようにしなければいけない。いつかリーグの出資者が現れると信じ続け、DFLのクラブが中心となってマーケティングを行うことも信じ続けている。ただ、ブンデスリーガと2部リーグのクラブが個別にマーケティングを行う可能性はないだろう。」

ブンデスリーガブランドのマーケティングについて...。
GSのMax Eberlが競技面での成功のために奔走し、Plengeはそれによって作られたRB Leipzigというクラブを売り込む。更に大きな規模でみると、ブンデスリーガという一つの商品を広めることが求められる。
「我々はブンデスリーガという残酷なほど強力な商品を持っている。しかし、他のリーグのようにその商品を世界に広めるまでには至っていない。ヨーロッパで最もエキサイティングな大会はない。ただ、それ以外にもErling Hålandのような素晴らしい選手をどのように生み出すか、クラブの運営方法についてのストーリーなど魅力はたくさんある。国際大会の出場権争いや降格争いでも非常に面白い競争があり、ヨーロッパで最も埋まっているスタジアムも魅力的な点である。
既存の関心を収益化するためにもっと努力する必要がある。そのために、我々は今、新しい放映権期間に妥当な契約を結べるよう、クラブがどのような貢献ができるかという課題に対処しなければいけない。ブンデスリーガを見たいと思っている人たちに、いかに良い商品を届けるかという課題だ。それはドイツ国内の人々だけでなく、世界中の人々が対象だ。」

・来夏のキャンプについて...。
マーケティングの一環として、RB Leipzigはオフシーズン中の海外ツアーを検討している。行き先は決まっていないが、アメリカやRed BullがスポンサーをしているFC Goaのあるインドなどが候補として考えられる。
RB Leipzigは今やドイツサッカー界の第三勢力も言える存在で、ブンデスリーガの海外放映権販売によるマーケティング収入増加により関与していく必要があるクラブになっている。現在の海外放映権料は年間€200Mだが、2部を含めた36クラブに分配されている。
MintzlaffはLeipzigのCEOを務めていた際にDFLのCEOのDonata Hopfen(22年12月に退任)と会談し、国際的にブンデスリーガ知名度と価値を高め、テレビ収入を増やすためのクラブの活動について話し合っている。
ブンデスリーガのクラブは基本的にインドやアメリカといった新しいサッカー市場で人気を高めることが求められている。そして、これはRB Leipzigだけでなく、1部リーグの全クラブに当てはまることである。
「DortmundのCEOを務めるCarsten Cramerの言う通りだ。ブンデスリーガを海外に広めていくのはBayernとDortmundだけの仕事ではないし、彼らだけでできることではない。これは海外で注目されたいという野心を持つクラブの仕事でもある。そしてそれは、順位表の後半にいるクラブよりも我々のようなクラブの仕事である。我々もまた、国際的に認知されるべき存在である。
だから、我々も来年の夏にブンデスリーガを海外に持ち出すという大きな一歩を踏み出すだろう。RBはドイツでも南チロルでもないところに旅に出る。」

・クラブの目標/発展について...。
「継続的にCLに出場し、決勝トーナメントに駒を進めるクラブとしての地位を確固たるものにするために努めたい。また、RBは国内でタイトル争いを続け、国際的にも活躍するドイツのトップクラブとして認知されたい。」

Red Bull Arenaの拡張について...。

Red Bull Arenaはここ最近の拡張を経て収容人数が47,069人まで増えたが、これが今後3年から5年の間に更に拡張される予定はないとのこと。ただ、将来的な拡張の可能性は残されている。
「スタジアムが完売することは既に重要事項である。最近、47,069席までスタジアムを拡張したが、建築法上、さらに拡張する可能性がある。少なくとも、当初の建築許可証にはそう記載されていた。具体的にはまだ計画していないが、RB Leipzigはいずれ55,000人をスタジアムに収容できるようになると確信している。」

・スタジアムの空席対策について...。

Red Bull Arenaでは空席が目立つがこれには主に2つの要因があるとクラブは分析している。
一つはシーズンチケット保有者が実際に試合に来ないから。そして、もう一つは試合には来るものの、タバコを吸うことを好む観客などが自席ではない場所にいるためである。
HSVやDortmundでは空席対策として、シーズンチケット保有者の試合観戦数の最低数が定められている。
ブンデスリーガの全てのクラブがそうであるように、我々もチケットを買うことと実際に試合を見に行くことは別のことだと認識している。No-Show-rateは我々が取り組んでいる問題だ。ただ、シーズンチケットの保有者(が試合に来ない場合)に制裁を加え、一定の試合数は観戦しなければいけないということを(彼らに)言いたくない。
スタジアムの客席にもファンを呼び込めるような対策を練っている。試合をもっと宣伝し、忠誠心の高いファンには特別なイベントや見学会、クラブ関係者とのファンミーティングなどのインセンティブを与える形で報いたい。
また、構造的にも変えていきたい。スタジアムにいるファンはできる限り自席にいるべきだ。試合中に人が多すぎる場所では目隠しをを作るつもりだ。それは今、建築法の観点から検討している最中だ。我々はスタンドを満員にしたい。」