Borussia Mönchengladbach アシスタントコーチ René Marić〔インタビュー後編〕(2020/3/30)

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中編では主にトレーニングのあり方についてを語ったMarić。
後編では主に彼のパーソナルな面とサッカーの関係性についてを語った。

インタビュアー:あなたは心理学の学位を持っています。チームで指導するにおいてどのようなことが必要で、また個々の選手と関わりを持つうえでどのような観点が重要だと考えていますか?
René Marić:方法論や高度な専門的知識よりも人との触れ合いはより重要だと考えます、なのでその点で心理学は大きな役割を果たすと考えています。たとえ知識をたくさん持っていても選手と良い関係が築けていなければうまくそれらのことを伝えることはできません。そのような観点からも、コーチングスタッフの中に心理学に詳しい人が含まれていることも納得することができます。ただし、成功を収めるために最も重要なこと、それはチームとして一つの目標を成し遂げるためにチームのすべての人が互いに良い関係性を築くことを意識して行動することです。唯一それを成し遂げることが成功へと道しるべになります。

インタビュアー:あなたのことをよく知っている人に話をすると、ほとんどの人はあなたの人付き合いの上手さを長所としてあげます。これはあなたが人生を通して培ってきたものなのか、あるいはこれも大学での学びに影響を受けたものなのですか?
Marić:この点に関しては全く自分のことを知らない人に判断してもらうといいと思っています。もちろん私も口癖や特有の表現法があるし、うまく対処することができないような場面にも遭遇するからです。ただ、それを除いても私は比較的真っすぐで素直な人だと考えています。このような仕事に就けていることもあり、普段はとても機嫌もよく、成功を収めるための熱意に溢れています。

インタビュアー:昨年の冬にご自身のTwitterを通して、『Borussia Mönchengladbachで多くのことを学んだと同時にまだまだ多くのミスもしている』と語っていましたが、その点についてもう少し詳しく教えてもらえますか?
Marić:この点に関しては細かいことが多すぎてすべてをあげることはできません。例えば、アシスタントコーチのFrank GeideckとビデオアナリストのPhilipp SchützendorfはBorussiaに長く在籍していて、非常に能力も高いです。彼らと話をする中で、局面や視点、アイデアを吸収しています。Marcoと働き始めた頃は自分が焦りすぎたり、Marcoに頼りすぎていたり、ある種の甘えのようなものもありました。コーチングチーム内での話し合いにおけるマナーやメディアとの関わり方、そして自分の意思で間違いを認めて終わります。

インタビュアー:これまでのプロレベルでの経験から、サッカーに特化したテーマをよりシンプルかつトレーニングに関連するように見ることができるようになったと考えますか?
Marić:はい。自分の仕事の結果が目に見えるようになるだけでなく、より具体的なものになってくると、細部の重要性をより感じるようになります。基本的なことに関してはほぼすべての状況で発生するので、常に正しくなければいけません。例えば相手選手に圧力をかけた状態でのトラップを作り出させ、そのボールをうまく奪取する、という現象は試合を通してせいぜい2,3回しか起こらないでしょう。一方でチーム哲学の元で頻繁に再現されるプレーというのは、試合中ほぼ連続して起きています。簡単に言うとサッカーとは選手によるゲームです。選手たちは常に最高のスピードで個人、チームでの意思決定をしています。つまり、事前に設定したルーティン、いわゆるプレープランが実現可能となる場面はかなり限られている。なので、今は異なった考え方をするようにしています。今まではチームから個人へ、あるいはアイデアからプロセスへと考えていたものを今はむしろその逆で個人から、プロセスからと考えるようにしています。チームは常に個人で構成され、状況は常にアイデアを持った選手から構成されます。これらは数値的な関係性ではありません。

インタビュアー:とはいえ、余暇でもサッカーは手放すことができない存在のようですね。ウインターブレーク期間中には冬休みはMönchengladbachのアスレティックトレーナーであるPatrick Eibenbergerとエチオピアで講義をされていたそうですね。その時のことを教えていただけますか?
Marić:友人のAddis Workuがエチオピアの1部リーグで働いています。数年前に彼からサッカーについて話がしたいとメールで連絡が来ました。興味本位で返信をして以来連絡を取り続けています。彼はザルツブルクまで2試合も試合を観戦しに来てくれました。彼は優れた指導者というだけではなく、心の広い素晴らしい人です。その点で今回の渡航は主に彼に会いに行き、彼の国を見て回るのが目的でしたそれに加えてAddisが主催する形でエチオピアの1,2部の指導者を対象とした無料のコースを行いました。これはAddisのエチオピアのサッカーを発展させたいという願いから開催されました。僕とPatrickは半日の講義を2日間行いました。彼の講義は陸上競技と負荷の管理について、僕は基本的なサッカーの理論とトレーニングについての講義を行いました。

インタビュアー:最後に、これまでに達成したものにどれほど誇りを感じていますか?また、いつの日かヘッドコーチ(監督)の立場に戻ることは想像できますか?
Marić:とても誇りに思っています。SalzburgのMarco Rose、Christoph Freund(現SD)、Ernst Tanner(元育成部門責任者)、そしてBorussia MönchengladbachのMax Eberl(現SD)らが僕のような若く経験の浅い人間にもチャンスを与えてくれ、信頼してくれたことに感謝しています。ヘッドコーチの座に戻ることは考えられる話ではあるものの、どこに行くかはまだわかりません。今はUEFAのA級ライセンスの取得をしているところです。仮に取得できても、さらにプロライセンスが必要になります。そのためにも多くの経験を積む必要があります。そして、僕はまだまだ学ぶべきことがたくさんあると考えていますし、特にMarcoから学べることも多くあります。将来のことはあまり考えずに今できることを考えています。

(ドイツ語)

(英語)